メトセラの仲間たち - 新進画家に復讐してください -
メトセラの仲間たち - 新進画家に復讐してください -
完結アフィリエイトOK
発行者:海原 灯
価格:章別決済
章別決済は特定の章でのみ課金が発生いたします。
無料の章は自由にお読みいただけます。

ジャンル:恋愛
シリーズ:メトセラの仲間たち

公開開始日:2013/07/18
最終更新日:---

オーナーサイトへ
アフィリエイトする
マイライブラリ
マイライブラリに追加すると更新情報の通知など細かな設定ができ、読みやすくなります。
章一覧へ(章別決済)
メトセラの仲間たち - 新進画家に復讐してください - 第1章 キラキラを探してください
 たった1つのミラクルを置いていこう。
 救い主は救われ、助けられた者は、再び力を得るだろう。
 これは、レピソミア文明が遺せる、最高傑作──────────


バシャンッ
 真っ暗闇の街灯の隅で、人知れず、派手にすっ転んだ少女を、通りすがりの老人がジッと見守っていた。
────────── みかけない娘だな。
 そう思う側から、せっかく起き上がった少女は、またすぐに、今度は仰向けに倒れて、雪の中に埋もれた。中々起き上がれず、必死に両手をバタつかせてもがいている様に、見かねた老人が、シワだらけの手を差し伸べる。
 お嬢さん、大丈夫ですか!?…、そう言おうとした矢先、
「さ、探し物をしてるんですっ。あの、あの、…キラキラ、知りませんか!?」
少女の方から、息せき切った声で、そう尋ねられた。
────────── キラキラ…!?
 どんなキラキラした物を探しているのかと、聞き返そうとしたが、ふと、自分を見上げる瞳がひどく印象的なのに気づくと、老人は目を細めた。
 綺麗な娘だった。年はまだ10歳を越えたぐらいの幼さだが、銀髪の癖のない煌きに相応しい、薄いブルーの瞳。透けそうな肌をした少女は、街中を歩くどの娘の中でも、一瞬、目を奪われてしまうほどに、美しかった。
 だが、老人が驚いたのはそれだけではなかった。
 よく見ると、顔は青ざめ、唇は紫色をしていて、今にも卒倒しそうな勢いだった。
「…まさか、この雪の降る寒空の中、そうやって、雪の中を探し回っているのかね!?」
「こ、これは、好きで雪をかきわけてる訳じゃなくって…」
 手をバタつかせているのは、ただ、起き上がれないだけだった。
 老人に助け起こされ、やっと起き上がった少女は、フゥッと息をつくが、膝まで降り積もった雪から、再び足を抜いて歩こうとすると、眩暈がして、また倒れそうになった。
「だ、大丈夫かね!?」
 気遣う老人にもたれかかるようにして、少女は意識を失ってしまった。
 目を回している少女を見かねて、困り果てた老人は、ふと良いことを思いつき、いそいそと、少女を背中に背負うと、ある場所を目指して、とにかく歩いていった。
「ほ、ほれ、しっかりせぃ。温かい所に連れていってやるから」
 老人が、少女を連れて行った先は、通りに出た、少し先に見える2階建ての、赤いレンガ造りの一軒家だった。
1
最初 前へ 1234567 次へ 最後
ページへ 
TOP