黄金神起の世界

慈恩将人の描く近未来世界

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情報の力 ~時として国家の運命を左右する~
2015/12/20 12:00:00
テーマ: 未設定

今週から始まりました慈恩将人情報サイト、如何だったでしょうか?

まだまだテストパイロット版でございますが、貴重な情報も出しております。


一種の経済情報でもあります黄金神起外伝 黒い瞳のダイヤモンドの情報は、

時として情報が大いなる力を持つことの証左だと確信しております。


歴史上、そういった事例は多々ありますが、今回は陰謀論で御馴染みの

あの一族の逸話を取り上げたいと思います。

慈恩らしく、物語風に描きました。

それではご覧ください。

夜の狭間に馬車の蹄の音だけが響く。

霧に囲われたロンドン......。誰も知らぬ時に誰にも知られぬように出て行く.......。

ドーバーが見える場所に来ても夜は明けない。

港に到着した馬車から一人の男が駆け下りた。

ネイサン・ロスチャイルド。ロスチャイルド一族の三男、イギリスロスチャイルド家の当主である。

使用人の言葉をさえぎり、一人、港の埠頭にたたずむ。

まだ、寒いゆえ、馬車の中でお待ちくださいというその声をさえぎり.......。


ネイサンがナニを考えていたのかはわからない。

ただ、これが大勝負になることだけは確実だった。

そのために早駆けしてロンドンを抜けてきたのだ。

朝の....いつもの時間にはシティにいなければならない。そこが勝負の場だからだ。


シティ、ロンドンの金融市場の通称である。

そこにあるロンドン証券取引場のはネイサンが”定位置”がある。

円柱に寄りかかり、手の動きだけで株式、債券の取引をおこなう。

通称ロスチャイルドの柱。そこが彼の”定位置”である。


いつもならば、朝食と珈琲を嗜んだ後に出かける。

心の平静が保たれなければ、よい仕事はできない。そのポリシーに基づいた行動である。


しかしこの日は違った......。彼には夜、密かに闇を駆け抜けなければならない理由があった。


時は1815年である。

ナポレオン戦争最終章ともいえるワーテルローの戦いが大陸で行われていた。

ヨーロッパ各国はそれに注視していた。なかでも......イギリスにとっては死活問題であった。

この戦争の当事者はナポレオン、そしてイギリス政府であった。

戦いに勝てばイギリス国債は暴騰し、負ければ暴落する。

国家存亡の時......まさしく1815年6月16日から始まった戦いはその時であった。


戦争は三日間で勝負がついた。

6月18日21時に両軍の代表者が会見した。

イギリス側の代表者はアーサーウェーズリー、のちにこの功績からウェリントン公爵となる人物である。

彼は急報をロンドンに飛ばした。到着したのは6月21日。翌日政府発表が行われた。


時間を物語りに戻す。

6月20日夜半から明け方にかけてのドーバーは、ワーテルローの戦いとは別の、

戦いの序章であったのである。


ドーバーを渡る快速船を待つネイサンの心境は如何ばかりであったか。

いつものような平常心であったのか、それとも不安と恐れなのか。

或いは........


霧の中から明かりがかすかに見えた!

ロスチャイルド家が独自にやっとた快速船である。

船場につくと同時に、使用人を船の中に走らせた。

船長みずから手渡すと使用人は埠頭に駆け出した。

まったくそつのない早技であったが、永遠の時間にも感じられた。

ネイサンの口の中は渇ききっていた。従者が飲み物を用意していたが、それにも気付かなかった......。

そして運命の瞬間は訪れた.....

戦況報告のレターを通信用の筒から抜き出した。

そこに書かれていた内容は.........


ロンドンに戻るネイサンは目を閉じていた。

少しの眠りと思念のためである。

結果はわかった。では.....どのように戦うべきか........

朝もやの中、馬車はロンドンに向かう。既に夜は明け、シティの前にも人だかりが出来ていた。


シティの熱狂はいつもとはうって変わっていた。

ロスチャイルドが情報を握っているという噂は既に戦いの前から云われていた。

投資家たちはロスチャイルドの一挙手一頭足を見逃さないように注視していた。

いつもよりも早い時間にネイサンは到着した。

馬車から降りた彼は、見た目上は、いつもの風貌であった。

霧のドーバーで船をまっていたために、スーツは多少へたれていたが、

それに気がつくものは誰もいなかった。

皆、一点だけに集中していた。それはイギリスがワーテルローの戦いで勝ったか、負けたかである。

ネイサンがロスチャイルドの柱に寄りかかった......

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

市場が開くまでの時間は、誰もが息を呑む時間であったろう。

投資家だけではなく、商人、政治家、そして英国王室さえも........


ネイサンは柱に寄りかかったまま動かない。目をつぶり腕を組んでいる。

ロンドン、いやイギリス中が注目している中、ひとり明鏡止水の心境であった。

鐘がなる。市場開幕の合図。

合図とともに市場窓口には人が殺到する。

この日も取引の重要さを考えれば、そうなるはずだった。だが.....

窓口には誰も居ない。

皆、ネイサン・ロスチャイルドその人に注目していた。

ネイサンが静かに目を開けた。そして、いつものように手の動きだけで売買人に指示を出した。

人差し指を挙げたその手は振り下ろされた!

「売りだ!!!!」

市場はざわめいた。イギリス軍敗北!国債暴落。

商人たちは色めきだった。そして政治家たちは青ざめた......。

イギリス国債は1日にして大暴落を起こした。

市場のパニックを尻目にネイサンは早々にシティを離れた。

昼前には邸宅に戻っていた。

流石に緊張からか、この日の食事は少なめだった。

気になった執事が声をかけると、3時のティータイムに売買人を招待するように命じた。

いぶかしながらも執事は、使用人達に伝令した。



ロンドンには喫茶店が少ない。ホテルのラウンジ程度だとも聞く。

その理由は、各家やオフィスに充実した喫茶装備があるからという。

それほどティータイムというものが文化として定着している。

現在でも朝食だけで、昼はとらず、午後のティータイムで小腹を満たしていると聞く。


ロスチャイルド家のティータイムは単なるくつろぐ時間ではない。

時として戦略会議の様相を見せるときがある。

それにつけても.......末端の売買人まで招待するとは何事かと思うほどだ。

一同が見守る中でネイサンが現れた。

そしてネイサンの発した言葉で優雅なティータイムが緊張の場となった。


「明日、買い戻せ」


売買人一同、困惑した。売買人を指示する使用人たちもだ。

そして使用人達にはことは密かにおこなえとだけ伝えた。


翌日のシティにはネイサンは現れなかった。

午前中は静かなものだった。

暴落して紙くず同然のイギリス国債の取引など成立しない。

わずかにジャンク債狙いの山師がうごめいているだけだった。

だが.....一部気がつき始めた人間も出てきた。

「明らかなおかしい.....」

山師の取引程度ではみられない取引高になってきた。


「そろそろかな.....」

ネイサンのティータイムでの独り言だった。

それを聞いた執事も、この主がなにかしらの企みを遂行中であり、

その結果がでることが近いと.....皮膚感覚で感じ取った。

執事は使用人に指示を出した。

最高の見せ場で使う衣服を準備するようにと。


6月21日の午後は一見、祭りの後の静けさのようであったが、

水面下では怒涛の1日であった。


アーサーウェーズリーの急報がロンドンに届いたのは6月21日であった。

既に暴落しているイギリス国債に頭を抱えていた政府首脳は狼狽した。

情報が錯綜しはじめた。

確認のための時間を要したのだ。

そして、イギリス勝利の確信を得られたのは6月21日深夜から6月22日にかけてであった。


翌日6月22日もネイサンの姿はシティにはなかった。

朝からは政府情報筋から情報を得た商人達が詰め掛けていた。

既に6月20日の底値からは値が上がりだしている。

売り仕掛けをした連中の中では損益分岐点を割り出しているものもいる。

つまり、利益ではなく損失に向かっているものも出始めている状況である。


そして、政府発表。ワーテルローの戦いはイギリス軍勝利。

市場は暴騰した。

そして.....売り仕掛けをしていた連中からは破産者が続出しはじめた。

ネイサンがシティに姿を表したのはティータイムの後であった。

暴騰を確認したのちに使用人を通じて買い占めていた国債を売りに出たのだ。

瞬く間に買い手が殺到し、暴騰は止まらなかった。


一説にはこの暴騰でイギリスロスチャイルド家は、資産を数十倍、数百倍にしたと伝えられている。

ネイサンはロスチャイルドの柱によりかかりながら大きく息をした。

ようやく自身の戦いが終えたと一息つけたのだ。


(終)

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