キタサンブラックはハナを切って逃げて前半5F61.4秒のスローペースで進み、直線で後続を引き離しメンバー8位の35.2秒でまとめてラストランVを飾った。後半5Fは59.5秒でラップは12.2-12.1-11.7-11.2-12.3秒。中盤に13.3-13.2-12.8秒と3F流れが緩んだが、誰もキタサンブラックにプレッシャーをかける馬がいなかった。武豊騎手は誰かが来ればラップを落とさずにスタミナ勝負も考えていたはずだが、誰も来なかったため、これまでの勝ちパターンに持ち込んだのだろう。スターホースのラストランで後続は金縛り。2、3番人気のスワーヴリチャード(デムーロ騎手)、シュヴァルグラン(ボウマン騎手)はある程度流れるとみていたのか、外枠が影響したのか、位置取りが後ろになり外々を回るロスがあったこともキタサンブラックに有利に働いた。自身が1枠2番に入り、他の有力馬が外枠。この差が大きかった。内枠からの勝利が多かったが、この勝利でG1-7勝目となり、歴代最高賞金獲得馬になった。今年はG1を6戦して全て1番人気に支持され、1、1、9、1、3、1着で4勝した。歴史にも記憶にも残る名馬。来年から社台で種牡馬入りする。数年後に産駒がデビューするのが楽しみだ。
クイーンズリングは2枠3番スタートから内の4、5番手につけ、メンバー6位タイの35.1秒で伸びて0.2秒差の2着。ルメール騎手が内枠とスローペースを生かす絶妙な騎乗で8番人気で波乱を演出した。スローの上がり勝負になった昨年のエリザベス女王杯で内からメンバー最速の33.2秒で捌いて勝った馬。距離は微妙に長かったが、その持ち味をルメール騎手が生かし切った。ルメール騎手は昨年のエリザベス女王杯のシングウィズジョイ2着(12人気)といい、人気薄を前につけて持ってくる。G1で社台がルメール騎手を敢えて人気薄に乗せてきたときは注意したい。クイーンズリングはこれで引退となるが、デビューから全て外国人騎手が騎乗していた。前日の阪神カップではG1馬イスラボニータがルメール騎手でラストランVを飾った。社台のG1馬がラストランでルメール騎手が騎乗させたときは要注意。
シュヴァルグランは中団の外からメンバー4位の34.8秒で伸びて2着にハナ差の3着。直線で外からスワーヴリチャードにぶつけられてトモを落とし減速したが、そこからひと伸びして追い上げた。不利がなければ2着だった可能性が高く、キタサンブラックにもっと迫れたかもしれない。ジャパンCを勝った馬は有馬記念で不振だが、パドックを見る限り、前走のデキをキープできていた。友道厩舎は上手く調整している。直線の長い東京、京都外回りコースが合うが、小回りの中山をこなすメドは立った。今後はひと息入れて天皇賞(春)を目指すことになりそうだ。
スワーヴリチャードは後方からメンバー2位の34.5秒で追い込んで3着にクビ差の4着。直線で内にモタれて他馬に迷惑をかけ、Mデムーロ騎手は1月6日から1月7日まで2日間の騎乗停止。もう少し前につけてキタサンブラックをマークして進めるとみていたが、外枠が影響したのか後方からのレースになった。直線でモタれなければ2着争いできたかもしれないが、やはり右回りに課題があったということなのだろう。Mデムーロ騎手をもってしても制御し切れなかった。春は大阪杯に向かう予定。スタミナがあるため、天皇賞(春)に向かうことになるのではないか。
ルージュバックは最後方からメンバー最速の34.3秒で追い込んで0.4秒差の5着。出遅れて位置取りが悪くなったが、最後は馬群を捌いて強烈な末脚を繰り出した。スタートを決めてもう少しいい位置につけていれば結果は違ったかもしれない。とうとうG1は勝てなかった。これで引退繁殖入りとなる。
シャケトラは2番手から伸び切れず0.5秒差の6着。直線でバッタリ止まっていないが、伸び切れなかった。この流れならもっと伸びてもおかしくないが、馬を前に置いてもう少しタメた方がいいのだろう。福永騎手はキタサンブラックを保護するような乗り方だった。外国人騎手に乗り替わって内枠に入ったら要注意。
サウンズオブアースは後方2番手からメンバー3位の34.7秒で追い込んで0.6秒差の7着。最後にいい脚を使ったが、位置取りが後ろ過ぎた。不利な大外枠、輸送して馬体10キロ増も影響している。もっと流れが速くなってスタミナ勝負になっていれば、もう少しやれたのではないか。
レインボーラインは13番手からメンバー5位の34.9秒で伸びて0.7秒差の8着。最後に内から伸びてきたが、位置取りが後ろ過ぎ、流れも遅過ぎた。不良馬場の天皇賞(秋)3着に入った馬。勝ち切れないが、確実に速い上がりを繰り出している。消耗戦で上がりの掛かるレースになれば激走がありそうだ。
サクラアンプルールは中団から直線で伸びかけたが、外から寄られて挟まれ蛯名騎手が落馬寸前になる致命的な不利があり16着。手応えからみてまともなら最低でも掲示板はあったのではないか。初の長距離戦で距離にメドを立てた。無事ならAJCCあたりでチャンスがありそうだ。