調教診断は8頭、有力馬診断は2頭を取り上げています。
有力馬診断では狙える理由を長文で詳しく解説しています。
以下、事後公開
■有力馬診断
■[6+]シュヴァルグラン 3着(6人気)
阪神大賞典は中団の後ろから外を回って早めに動き、メンバー最速の34.9秒で差し切って2馬身半差で圧勝。スタミナと末脚の持続力があることを証明した。天皇賞(春)は内ラチ沿いの中団からメンバー4位タイの34.5秒で伸びて0.2秒差の3着。スローペースで前残りになったが、内から上がって行くスペースがなく、終い勝負に徹するしかなかった。G1初挑戦で58キロを背負って0.2秒差の3着ならG1でやれるメドは立った。宝塚記念は9着に終わったが、直線で前が詰まってまともに追えなかったもので度外視できる。
前走AR共和国杯は6番手からメンバー3位タイの33.7秒で差し切って優勝。休み明け、トップハンデ58キロ、初の左回りと厳しい条件が揃っていたが、外を回っていい脚を長く使い、最後は底力で捻じ伏せた。58キロを背負って33秒台で上がったように力をつけている。左回りの東京も問題なかったというより、むしろ適性の高さを感じさせた。本来なら京都大賞典で復帰するが、陣営はジャパンC前に東京コースを経験させたかったのだろう。攻め駆けしないため、最終調教は派手な動きではなかったが、調子はキープできている。
1986年以降のAR共和国杯で58キロ以上を背負って勝った馬は、89年のレジェンドテイオー(58.5キロ)しかいない。レジェンドテイオーは天皇賞(秋)で2、3着があった。58.5キロで2着に入ったアイルトンシンボリは宝塚記念2着馬、オウケンブルースリは菊花賞馬&ジャパンC2着馬。58キロで2着に入ったステージチャンプは天皇賞(春)2着馬、アイポッパーは豪G1コーフィールドC2着&天皇賞(春)3着馬。休み明け、初の左回り、58キロを背負って勝ったシュヴァルグランはG1を勝てる馬なのではないか。
芝2400mは[3-1-0-0]、芝2500mは[1-0-0-0]でまだ底を見せておらず、一戦ごとにパフォーマンスを引き上げている。キタサンブラックには天皇賞(春)と宝塚記念で負けているが、天皇賞(春)は前残りの展開になり、内から上がって行くスペースがなく終い勝負に徹するしかなかったが、上がりは0.5秒上回っている。京都外回りより直線の長い東京コースなら差は詰まるのではないか。ただしキタサンブラックが1枠1番なのに対し、シュヴァルグランは大外8枠17番。枠順の差をどう埋めるのかがポイント。
東京コースは馬場の内側が荒れており、前に行った馬は4コーナーで少し外を回して馬場の3分より外を通っている。前に行く馬は馬場のいいところを選んで走れる利点があるが、キタサンブラックは1枠1番、かつ1番人気のためマークされやすい。逆にシュヴァルグランは大外枠に入ったことで前日段階では7番人気ならマークされない。操作性が良さと立ち回りが上手さで枠順の差を埋められないか。スタミナと末脚の持続力を兼ね備えた馬。末脚の持続力とトップスピードの持続力でキタサンブラックを差し切ってもおかしくない。
■[6+]キタサンブラック 1着
昨年のセントライト記念以降[4-1-2-0]で3着以内を確保。昨年の有馬記念3着は3歳馬で力をつけている段階でのもの。大阪杯2着は芝2000mの上がり勝負かつ2キロ重い58キロが敗因。天皇賞(春)は1枠1番から前半5F61.8秒のスローペースで逃げてラスト4Fを11秒台のラップでまとめて逃げ切り勝ち。直線でカレンミロティックに前に出られたが、最後に底力で差し返した。宝塚記念は稍重で前半5F59.1秒の速い流れで飛ばし、前に行った馬が壊滅状態になる中、クビ+ハナ差の3着に粘って底力を示した。
前走京都大賞典は1枠1番から2番手につけ、メンバー6位の33.6秒で抜け出して優勝。前半5F62.0秒のスローペースでラスト4Fは11.9-11.1-11.1-11.5秒の高速ラップ。スローペースで上がりをまとめて粘り込むのが勝ちパターンだが、その勝ちパターン通りのレースになった。58キロを背負って33秒台で上がったように末脚の持続力を備えている。これまで前半5F59.8秒以上では[7-1-1-0]、前半5F59.2秒以下では[0-0-2-1]で皐月賞3着、ダービー14着、宝塚記念3着。
過去5年のジャパンCの前半5Fは61.8秒。60.2秒、62.4秒、59.6秒、59.3秒。流れが速くなると決め手のある馬に差されているが、スローの上がり勝負ならラスト4Fを高速ラップでまとめて簡単には差されない。今年は逃げ馬がキタサンブラックしかおらず、1枠1番からハナを切ってマイペースで進める可能性が高い。スローペースで進めれば、上がりをまとめて粘り込むことはみんな分かっているため、早めに仕掛けてくる馬がいてもおかしくない。キタサンブラックは非社台のため、騎手たちに変なプレッシャーはない。
馬場の内側は荒れているが、土曜のレースを見る限り、逃げた馬は4コーナーから少し外に出して直線で伸びる部分を通っている。外に出したいところで外からマークされて直線で荒れた内を通らざるをえなくなると差し馬に差される可能性が高まる。先週の京都は外差し馬場から日曜になって内が伸びるようになったように馬場全体が荒れてくると踏み固められた内が復活するときがある。昨年のジャパンCでは荒れた内を通ったラストインパクトが2着に突っ込んでいる。武豊騎手は9、10Rに騎乗しないため、レースを見て見極めることになる。
今年は宝塚記念1、2着馬、天皇賞(秋)勝ち馬、ダービー1、2着馬、菊花賞1着馬が不在。本来なら昨年のダービー馬ドゥラメンテ(引退)か、今年のダービー馬マカヒキ、菊花賞馬サトノダイヤモンドが主役を張るレース。昨年以降に長距離G1を勝った馬がキタサンブラックとゴールドアクターしかいないのである。キタサンブラックとゴールドアクターが前に行ってスローの上がり勝負に持ち込むと2頭のマッチレースになる可能性がある。それをいかに崩すかが焦点。ゴールドアクターが早めに仕掛けると差し馬のチャンスが広がる。
■調教診断
■[7/]ゴールドアクター 4着
南Wで2頭併せで軽く仕掛けられて先着。重心が低くしっかりとした脚捌きで最後まで集中して走っていた。馬体がスッキリして鋭さが増している。ひと叩きされて良化した。
■[7-]キタサンブラック 1着
栗CWで2頭併せで馬なり調教。1週前に追われて直前は余力残し。いつも通り派手さはないが、しっかりとした脚捌きで動いている。一度使われたことで馬体が引き締った。
■[7-]ディーマジェスティ
南Wで強めに追われた。前向きさがあり、重心の低いフットワークでいつも通り動いている。長距離輸送があった前走より乗り込んだことで馬体が少し絞れてきた。順調。
■[6+/]リアルスティール 5着
栗坂で馬なり調教。軽快なフットワークでラスト11秒台。馬が自分でリズムを取って走っていた。1週前にコースで追って負荷をかけている。久々の前走より仕上げられた。
■[6+-]ルージュバック
南Wで2頭併せで軽く仕掛けられた。攻め駆けするタイプ。不良の重い馬場だったが、しっかりとした脚捌きでいつも通り動いている。馬体に厚みがあり、細くは映らない。
■[6+-]シュヴァルグラン 3着
栗CWで2頭併せで軽く仕掛けられて併入。中2週で長距離輸送があるため、多少余力残しも前向きさがあり、重心の低いフットワークで動いている。デキはいい意味で平行線。
■[6+-]レインボーライン
栗坂で馬なり調教。日曜に速いタイムを出し、直前は余力残し。いつも通り少し頭が高いが、最後まで余力があり活気も失われていない。前走菊花賞で激走した反動はなさそう。
■[6+/]サウンズオブアース 2着
栗CWで2頭併せで強めに追われて先着。前走はいかにも休み明けという調教だったが、一度使って脚捌きが鋭くなり、少しピリッとしてきた。馬体は地味だが、デキは上向き。