戦後70年の特集番組として8/1と8/2の二夜連続で放送されたTBSドラマ「レッドクロス」を見た。感動の余韻がずっと残っている。「女たちの赤紙」という副題が付いていて、戦時に召集されて満州に渡った従軍看護婦の物語だったが、正しい歴史認識で組み立てられ、戦争の悲惨がこれでもかと訴えられる渾身の内容になっていた。率直に、こんな暗黒のファシズムの時代によくこうした充実した反戦ドラマを制作できたものだと圧倒され、奇跡を見ているような気分にさせられる。日本では、このような日中現代史の真実を描いたドラマはもう無理だろうと諦めていたので、松嶋菜々子たちが
紅軍の衣装を身につけて颯爽と行進する姿を見て、腰を抜かして驚いたというのが偽らざる感想に他ならない。ひょっとしたら
時代が変わり始め、重苦しい雲が晴れて青い空が見える兆しなのかもしれないと、そんな楽観的な予感を抱かせてくれる。間違いなく、この戦後70年企画のドラマは、マスコミ支配を強める安倍晋三に渾身の抵抗を示したもので、右翼権力の
横暴には屈服しないぞというテレビ人の意思がこめられている。百田尚樹や櫻井よしこや小林よしのりが見たら、卒倒して悶絶してしまいそうな悪夢の「左翼ドラマ」だろう。彼らはこの20年間、こんな歴史作品がマスコミの表に出る「事故」が起きないよう、モグラ叩きと殺虫剤噴射と除草剤散布の「思想事業」を徹底してきたのだ。