一昨日(9/9)、『昭和天皇実録』についての
報道があった。朝日は、1面、3面、14面(社説)、19・20・21・22面、38面、39面と9頁を使って大型特集を組んでいた。夜のテレビ
報道も、錦織圭のテニスとこの話題で埋められていた。この「実録」報道に接しての感想を述べたい。マスコミ報道では、何人かの専門家が「実録」についてコメントした。保阪正康、半藤一利、古川隆久、原武久、加藤陽子などである。それらを読んだり聞いたりして、違和感というか、最初に感じたことは、果たしてこの人たちは本当に61巻
1万2000頁の現物を全部読み込んだのだろうかという疑問だった。最初から最後までページを捲って目を通した上で、持論を提出しているのだろうか。研究者として責任あるコメントをマスコミで試みる以上、最低限、書かれた内容を査読していなくてはいけない。この「実録」が完成したのは
8/21のことだった。9/9の報道は、それを宮内庁が公表したということである。完成から公表まで19日間しかない。わずか19日間で、1万2000頁の記録文書を完読することができるだろうか。1日に3巻632頁の分量を読まなくてはいけない。小説ならばそれも可能だろう。が、重要な歴史が記された文書である。当然、引用された資料を検証する必要が生じるし、従来の学説と比較検討する作業もある。専門家たちは、そういう作業を十分やった上で意見を述べているように聞こえるが、私はそれは信じられない。人の仕事として無理だ。