映画「
標的の村」を見た。高江の問題について描かれたドキュメンタリー作品である。高江の問題について、テレビや新聞ではほとんど情報に接することがない。マスコミは高江を報道しない。一度、マコーマックがダワーと対談したNHKの番組の中で、現地を訪れて少し触れたことがあるだけだ。辺野古や普天間については紹介されるが、高江はマスコミではタブーの扱いになっている。高江を出さない。高江という言葉を言わない。だから、高江の問題について全体が整理されたドキュメンタリーを見たいと思っていた。この映画は、実にそのニーズにミートして過不足ない情報上の満足を提供してくれる作品だ。「全体が整理された」とは、空間的かつ時間的な概括という意味だが、その両方でこの作品は説得的で、高江について無知な人間を啓蒙してくれる。まず、空間的説明が重要だ。これまで、高江を上空から撮影した映像を見たことがなかった。高江地区は、広大な北部演習場に囲まれた森の中の
場所にある。いわゆる米軍北部演習場は、北の国頭村と南の東村にまたがって広大な領域を占めているが、特に東村は、村の面積の半分に及ぶ北東部のやんばるの森をすっぽり演習場に割かれている。東村を北東部と南西部の二つに分割して、半分の面積の北東部がそのまま米軍演習場になっている。高江地区は、その北東部の演習場の中に、まさに陸の孤島の状態で存在している。