ウラジオのAPEC首脳会合で、野田佳彦と李明博がぎこちなく握手する場面があった。JapanとKoreaだから、丸いテーブルでアルファベット順の席次となると、どうしても隣同士に着座させられるのだろうか。21世紀の世界は、各国の首脳同士が頻繁に会合する国際政治環境となり、いつも大きな国際会議で並んでプレス撮影したり、バイの会談で握手するという図を作らないといけない。G20、APEC、国連総会、他にもASEAN+3、核サミットなどの機会がある。こうして、年に何度も首脳同士が顔を突き合わせる国際政治の枠組みが整備されていることが、まさに戦争の危機を未然に防ぐ平和外交の装置として機能している。互いに常に友好関係でなければ、顔を合わせたときに気まずい。首脳同士は国民と国民を代表して挨拶をする。ウラジオの日韓と日中の映像は、日本が、頻繁に首脳会合して相互友好を確認する最近の世界政治の流れに逆行し、そのシステムとは不具合を起こす北朝鮮型の国になっている事実を浮かび上がらせた。1990年代の頃はそうではなかった。日中と日韓は、「またか」と呆れるほど、くどいほど頻繁に往来して首脳会談をセットし、大きな議題がなくても顔を合わせて「緊密な関係」をアピールしていた。思えば、外務官僚はよく仕事をやっていた。現在の日中・日韓の関係は、EUの仲睦まじい絵とはまさに対照的である。