NHK-ETVが放送しているシリーズ『日本人は何を考えてきたのか』、偶然に見た1/8の
第1回が出色の出来で、中江兆民の思想的意義を浮上させた説得に大いに啓発された。その昂奮のまま、先週はルソーの「人民集会」(peuple assemle)からOWS(general assembly)を考察する記事を書いた。NHKにもまだ人がいる。
第2回の予告では、案内役で菅原文太が登場、東北の自由民権の歴史を旅して歩くという触れ込みだったので、さらに期待していたが、実に期待に違わぬ見事な作品に仕上がっていて満足させられた。菅原文太が素晴らしかった。本格的な知識人の姿だ。仙台一高出身。今の日本に最も必要な言葉を菅原文太が発していて、われわれの心情を率直に代弁している。番組の解説には、色川大吉と樋口陽一という碩学の大物二人が出演、色川大吉の監修の下で取材と編集が行われていることを窺わせ、二人の説明も当を得た過不足ないものだったが、番組に命を吹き込み、感動を与えた主役は菅原文太であり、最初から最後まで菅原文太が視聴者を魅了していた。冒頭、「自由民権のどんなところに惹かれたのでしょうか」と問う三宅民夫に対して、菅原文太がこう答える。「さあーって...」。「何度も何度も、人間は平等だ公平だと言われ続けながら、そうなってないじゃないですか、未だに」。