週刊東洋経済の4/2号で、
榊原英資はこう言っている。「S&Pやムーディーズは、日本よりまず米国債の格下げを行うべきだ」「むしろ、国債の70%を外国が持っている米国の財政の方が危機的だ」(P.41)。この発言は
記事でも紹介したが、4か月後に現実のものになった。私の見方も榊原英資と同じで、米国債の方を日本国債よりも安全で信用度が高いとする格付け会社の評価基準そのものが、どう考えても不当で異常である。公正で適切な判定がされれば、スペイン国債が日本国債より下位で当然だし、米国債は日本国債と同等な危険度だろう。市場の取引で変動する通貨の価値評価は、まさに「神の見えざる手の調節」の厳正さだが、格付け会社の格付けは恣意的で、米国の投機会社や各国の財務当局の思惑以上の意味はない。日本国債の格付けが引き下げられたのは、財務省が消費税増税のために手を回した結果で、IMFやOECDの「警告」と同じ政治工作に過ぎない。外国に無理やり購入を押しつけ、自国で返済能力のない米国債など、日本人からすればジャンク同然で、そんな代物が債券の国際市場でベンチマークに据えられていた事実こそが問題なのである。投機とは無縁な生活を送る世界中の市民が、そう確信していたはずで、ようやく米国債の市場評価に「
神の見えざる手」が介入し始めたと言える。