昨夜(5/9)のNHKの報道を見ていると、浜岡原発の停止について、相変わらず地元の住民や中小企業がネガティブな反応を示し、交付金が減ると生活が困るとか、節電させられるのは迷惑と言っている声が映し出されている。NHKは、これらの意見を国民の正論として位置づけて放送しているのだろうか。浜岡停止の政治措置を相対化したいという意図なのだろうか。停止に抵抗する地元住民の側に正義があると言いたいのだろうか。福島の農家や住民でなくても、計画停電を経験したわれわれ首都圏の住民でも、テレビで紹介される御前崎の人々の無神経と脳天気には苛立ちを感じる。首都圏の人間が浜岡の事故に恐怖して、連日街頭をデモ行進しているというのに、御前崎の住民がここまで原発の安全神話を信じ込んでいる理由は何なのだろうか。この大震災を経験しながらなお、東海地震など起きないと確信しているのだろうか。本来、原発停止の請願行動というのは、御前崎や浜松や静岡で激しく起きなくてはいけないものだ。乗客に広告看板を見せるように、新幹線沿線に工場を並べ建てている大企業が、率先して原子炉停止を求めるのが当然なのだ。中部経済連とか、静岡商工会議所とか、なぜ停止歓迎の声明を正直に出さないのだろう。東海地震が来れば、福島の二の舞か、もっと悲惨な目に遭うのである。広瀬隆の『原子炉時限爆弾』を読めば、NHKの関係者はあのような報道は絶対にできないはずだ。