昨日(6/17)、菅直人の口から消費税を10%に引き上げる
宣告が発せられた。参院選のマニフェストを発表する席での発言である。テレビも新聞も、この「サプライズ」を
大歓迎の論調で報道していて、昨夜の一色清は、本懐を遂げた思いで嬉々満面になるのを必死で噛み殺していた。今回の消費税10%引き上げ宣言は、政治的に周到な奸計と思惑がある。菅直人は、わざとマニフェスト発表の場で具体的な税率と時期を言い、
報道を消費税問題で塗り固めた。国民の関心をマニフェストではなく消費税に向けたのである。それには理由がある。今度の民主党のマニフェストが惨憺たる内容で、昨年の衆院選時から大きく後退し、国民への公約を甚大露骨に裏切る中身になっている点に報道の焦点が当たらないよう遮蔽したのだ。そして菅直人は、今度の選挙の争点を消費税にフォーカスする戦略で、マニフェストに並べた政策カタログの優劣比較での選挙に持ち込まないのである。ここで税率と時期を打ち上げて驚かせなければ、昨年のマニフェストからどう政策が変わったかが主要な話題に取り上げられる。官僚の無駄の削減が落ちた点や、「国民の生活が第一」の政策群が、消えたり、先送りされたり、減額されたりしている否定面ばかりがクローズアップされる。そのため、参院選のマニフェストの発表と説明ではなく、消費税10%引き上げの会見の場にしたのだ。菅直人らしい狡猾で巧妙な術策である。狙いは的中、ニュースは「消費税10%」に集中し、他党の選挙公約の情報も全て吹き飛んだ。