よく見ると、ダッチロールしている者とそうでない者がいる。迷走しているのは、鳩山由紀夫と閣僚たちと外務官僚と社民党の四者だ。右往左往してないのは、米国と防衛官僚と下地幹郎の三者である。注意して観察しないといけない。後三者は獲物を照準から外してはいない。昨日(3/29)、鳩山由紀夫は政府案の3/31発表を延期する
発言に出た。お笑い草の醜態だが、それだけ強く「徳之島全面移転」の案に纏めようとしていた本人の内心は窺い知れる。報道ステーションの
スクープは正しかった。決断力のない世襲貴族だが、「最低でも県外へ」の公約に少しでも格好をつけようと悩みあがいた点は、個人的には若干評価できる。
福島瑞穂の働きかけもあったかも知れない。鳩山由紀夫にはサポートする官僚がなく、徳之島案を政府案に落とし込めないのである。「
県外に道筋を」の意向を具体的な計画に取り纏めてくれる官僚が側近にいないのだ。「辺野古陸上+勝連沖」を出しても、「辺野古陸上+徳之島」を出しても、出した瞬間に猛反発が起き、鳩山政権は確実に撤回を余儀なくされる。それを撤回するまで政治は混乱し、支持率低下に拍車がかかる。次の展開は、おそらく、「辺野古陸上+機能分散」で米国と交渉を続ける線だろう。「辺野古陸上」は防衛官僚の担当で沖縄の地主の買収工作、「機能分散」は外務官僚の担当で国務省を通じた国防総省への説得工作。私自身の予想は、どちらも不調に終わり、
5月末には再び振り出しに戻って、「辺野古沖現行案」か「普天間継続利用」かの選択を米国に突きつけられる結末だ。