今回は、鳩山由紀夫らしくなく素早い決断を下した。朝日新聞の政界面(2面)を読むと、興石東が鳩山由紀夫に1/6中の即断を促したとある。今回もまた、小沢一郎に背中を押されて優柔不断を回避できた結果になった。鳩山由紀夫は藤井裕久への慰留を続ける気でいて、藤井裕久と財務省(丹呉泰健)は野田佳彦を据えるべく画策していた。鳩山由紀夫が藤井裕久と財務官僚を切り、権力をトロイカで運営する体制を選んだという政治になる。この体制こそが民主党政権の本来の姿であり、安定的なパワーバランスの構図であり、菅直人が政策のヘゲモニーを握ったことで、ようやく本来の政治主導を期待できる局面が到来した。これまでの鳩山政権の「政治主導」は、マスコミが捏造した見せかけの虚像であり、実際には財務官僚が操縦桿を握って政策と予算を差配する官僚主導の政権そのものだった。菅直人が財務相に就いたことで、特別会計への切り込みや天下り法人の整理が具体的に着手されるだろう。マニフェストで207兆円のうち9兆円を無駄の削減で捻出すると言いながら、鳴り物入りの事業仕分けの政治ショーでわずか1.6兆円しか削減できなかったのは、特別会計と公益法人がそのまま温存されたからで、財務省が最初からそのように事業仕分けを設計したからである。金子勝が指摘しているとおり、来年度予算は官僚の思いどおりに積み上がって膨張した。そして、例年どおり財務官僚が財政危機をプロパガンダする予算となった。