週末になると、政治を離れて『
龍馬伝』に関心が移る。第二話は、久万川という川の堤防を龍馬が周辺の農民を指揮して築くというお話。こんな話は聞いたことがなく、見る前は興味が乗らなかったが、ドラマの中身は面白く仕上がっていた。久万川は本当にある。高知市の北を東西に流れる小さな川で、東の南国市方面から流れて来る国分川と合流し、川幅を広げて南下して浦戸湾に注いでいる。
地図を眺めていると、当時の高知の城下の北辺の境界が久万川だったのではないかという想像が浮かぶ。城下全体の設計において、東辺の堀が南下する国分川で、南辺の堀が鏡川で、三本の河川を大外堀としたのではないか。それから、さらに想像を逞しくすると、北を流れる久万川が黄河で、南を流れる鏡川が長江で、その中間を流れる小さな江の口川が淮水のような、そんなミニチュアのメタファーの趣も感じられる。久万川中流の南岸には、広末涼子が通っていた市立城北中学校がある。久万川は実在するが、ドラマで二つの村の百姓が喧嘩する高瀬村と猪俣村は実在したのだろうか。NHKはそれなりに時代考証の根拠を持っているはずだという意識が働き、つい地図と睨めっこしてしまう。高瀬村はないが、
高須村という村が国分川の東岸にあった。元の長岡郡高須村。昭和17年に高知市に編入され、現在は高知市高須となっている。猪俣村を連想させる地名はない。敢えて当て嵌めれば、現在の一宮とか薊野の辺りの村だろうか。