依頼をいただいた社会人向け
市民講座の通期のテーマは、『連帯のための哲学』(仮)と題名がつけられている。並んだ講師陣の顔ぶれを見ても、この講座がまさに「思想」を主題にしたものであり、「思想」に対する鋭くて深くて豊かな関心と問題意識で企画され構成されていることがわかる。別の言い方をすれば、この講座に集まる人たちというのは、神田三省堂の4階フロア(の上がって手前側・レジから向かって右側)に足繁く通って書架の新刊本と対面し、濃縮した時間の中で何事かを考えている人たちで、そういう思索の営みを人生の大切な一部として長く続けてきた読書人たちである。もっと言えば、私の勝手な感じ方かも知れないが、講師陣の配置と構成には何かしら意図された目的意識性がうかがわれ、それは一言で言えば、「思想から政治へ、そして思想へ」という展開の狙いのように思われた。思想の世界から政治を考えようとしている。であるとすれば、講演はその課題意識に正面から答えるものでなければならず、政治思想史学からの有効な言葉の提供でなければならない。