NHKドラマ『坂の上の雲』が11/29からスタートした。NHKの前宣伝の攻勢が凄まじく、普通の大河ドラマの20倍以上の規模で告知情報が投入されていた。制作発表からすでに3年が過ぎ、キャストの情報も巷に周知され、メイキング映像も幾度となく紹介されていたから、正直なところ、やっと始まったかという感じが強い。キャスティングは実に成功している。秋山真之に本木雅弘、秋山好古に阿部寛、正岡子規に香川照之。考えられる最高で絶妙のキャスティング。10年ほど前、秋山真之は誰がいいだろうと考えを廻らし、真田広之かなと候補が浮かんだことがあったが、今なら本木雅弘がベストで、彼を抜擢するしかない。香川照之の正岡子規もいい。ぴったりと適役を選んでいると誰もが納得する。キャスティングだけでドラマの完成度や説得力を確信できてしまう。それから、制作の着手は理由があって延期され、企画時点の予定よりも大幅に放送開始が遅れたが、時代が変わり、自民党政権ではなく民主党政権の下での放送となった偶然についても、政治的に安堵の念を抱く。これがもし安倍政権の下での放送だったら、一体どうなっていただろう。NHKドラマ『坂の上の雲』は、おそらく憲法改正に合わせた記念番組の意義を持たされ、時代の転換を象徴するモニュメントとされていたに違いないのだ。改憲を祝賀する国民的行事として。