7/16に法案が衆院本会議で可決されたとき、マスコミは異口同音に「これによって、法案は今国会で成立する公算が大きくなりました」と
報道した。安倍晋三の私設放送局と化しているNHKがこの決めつけの見方を撒くのは理解できるが、テレ朝やTBSまでが口を揃えて「成立の公算大」を
言うのは頷けず、どうして政府側に立った既成事実化の世論工作に与するのかと不審に思われて仕方がなかった。普通の政治ジャーナリズムの感覚からすれば、冷静に考えて、9月の国会で法案が成立する可能性は五分五分の観測となるだろう。強行採決の後、安倍晋三の支持率は急速に低下し、毎日の調査では35%にまで落ちた。参院の審議が進む中で支持率が回復に転じるとは予想しにくく、逆にさらに落ち込むのは理の当然だ。安倍晋三の退陣を要求する市民の
デモは勢いと広がりを増してゆく。テレ朝やTBSや外国人記者クラブによる安倍晋三批判も攻勢が強まる。支持率が30%を切り、25%近くに達したとき、与党内が今のように盤石で安泰かどうかは怪しい。通常、支持率が25%に落ちたら、政権はレイムダック状態となってダッチロールを始める。9月の政局の動向を価値判断自由に予測したとき、現時点で「法案成立の公算大」と政治記者が原稿を書くのは、あまりに安直な、また過度に政府寄りに偏向した判断と言えるだろう。60日ルールの衆院3分2再議決は、実は安倍晋三にとって両刃の剣なのだ。