今年の朝日の憲法記念日の社説は、果たしてどのような内容になるのか、今から気を揉んで仕方がない。「安倍政権と憲法 - 平和主義の要を壊すな」と題した昨年の
社説は、閣議決定による9条の解釈改憲に対して反対意見を表明したものだった。昨年のこの時期は集団的自衛権の政局の真っ最中で、マスコミ各紙の中で朝日は反対の論陣の先頭に立ち、リベラルの旗手らしく果敢にペンで戦っていた。柳澤協二や阪田雅裕などを連日紙面に出して反対世論の醸成に努め、また、石破茂と安倍晋三との鬩ぎ合いを
暴露して永田町の抗争に介入するなど、一昨年の秘密保護法の攻防のときの東京新聞の活躍を思わせる獅子奮迅ぶりだった。今から思えば、編集部の中は相当な緊張状態にあったはずで、内部の右派と左派の暗闘の中で、左派がギリギリの足場で突っ張っていて、この政局の勝利に賭けていたフシがある。結局、
7/1の閣議決定を阻止することはできず、朝日は政争に敗れた格好になり、右派が反動のバネで猛然と巻き返し、堰が決壊したように、1か月後の従軍慰安婦の誤報訂正の事件へと流れ込む展開になる。右派が編集部を支配し、紙面が大きく変わり、読売と全く変わらぬ編集と論調になった。その濁流がさらに勢いを増していて、とめどない朝日の
右傾化となっている。