昨夜(5/7)、白井聡がBSフジの番組に
出演して、「永続敗戦論」の話をしていた。この議論そのものの検討は別の機会にするとして、その「永続敗戦」のレジームはそろそろ終焉に近づいていると私は感じている。政治の現実感覚として、米国従属体制からの解放という課題意識は、私の場合、以前の気分と比較してリアルで第一義的なものでなくなりつつある。それと入れ替わって大きな関心となって念頭にあるのは、中国との戦争というテーマである。米国従属体制の社会科学的考察とか、そこから脱出し自立する展望とか、そこに新自由主義の問題を入れて未来を考えるとか、そうした、言わば積極的な政策論の概念的思考へ、正直なところ、今は動機づけられることがない。エンカレッジされない。無遠慮に白井聡の「
永続敗戦論」に対する不満を言えば、差し迫った日中戦争の危機がダイナミックに導出されていない点ということになるだろうか。別の言葉で反論を返せば、そのようにスタティックにモデルを析出した「永続敗戦」の体制と構造は、あと10年もせずに崩壊し消滅する運命になるだろうと、そういうシニカルな感想になる。無論、それは、日本人が対米自立の理想的な社会を実現するという意味ではない。破滅的な将来予想だ。今、目の前に白井聡がいて対論していると仮想して、語りかける感覚で、さしあたり、今回は日米同盟と新型大国関係について述べよう。