集団的自衛権の問題をめぐって、どうやら安倍晋三と石破茂の間で小さな権力闘争が起きている。明確な断言はできないが、微かな感触が新聞記事の行間から探られる。昨日(5/5)、朝日の3面に、集団的自衛権の行使容認を反映させた関連法の改正について、来春以降に先送りするという石破茂の見解を伝えた
記事があった。石破茂がボストンで同行記者団に、「統一地方選で集団的自衛権が争点になるような政治日程にしてはいけない」と言い、関連法の先送りを報道させている。マスコミに書かせて既成事実にした。これに合わせる形で、安倍晋三がリスボンで、憲法解釈を変更する閣議決定の時期について、「与党で一致していくことが重要なので、場合によっては時間を要することもある」と
語っている。つまり、公明に配慮して閣議決定の時期を遅らせる意向を示した。今国会会期中と言っていた閣議決定の日程が、安倍晋三の口から先送りが明言された。一見すると、二人の発言は平仄が合っていて、示し合わせて地球の裏側の別々の地から同じことを発信している。だが、ここで注視しなくてはいけないのは、5/2の朝日1面の
記事だ。これは安倍晋三が書かせたもので、集団的自衛権の政局の主導権を握るための強硬論のぶち上げだった。5月中に「政府方針」をまとめて会見で発表する、6/22の会期末までに閣議決定する、という当初戦略の
念押しのブラフである。