12/4、大宮のソニックシティで「山田洋次監督と平和を考える」会があった。主催したのは埼玉弁護士会で、入場無料。貧乏人にはありがたい機会なので、電車を乗り継いで聴きに行くことにした。山田洋次の話を聴くのは初めてのこと。テレビで見るのと全く変わらない風貌と語り口だった。山田洋次は83歳。先週、81歳の菅原文太の訃報があり、そのことも講演会に出かける一つの動機となった。これが最後になるかもしれない。菅原文太の話は一度も聞いたことがなかった。こうなってみると、2月の都知事選での、大雪が降る中の銀座の演説などは、路上の聴衆の一人として立ち合っておけばよかったと、そういう残念な気分にかられる。誰もがいつまでも元気で生きているわけではない。あとで後悔しないように、尊敬する知識人の声に直に接した体験を残しておこうと、その気持ちが先に立ったことは間違いない。けれども、そういう動機とは全く釣り合わないほど、山田洋次は元気で、淡々としていて、大ホールの演壇に座って話す姿が、実物というよりスクリーンの絵のようであり、動画というより静止画のようで、ハプニング的要素のない静かな講演だった。思えば、山田洋次も全く年をとらない人で、イメージに時間に伴う異同のない人だ。思想にも揺るぎがない。まさにインテリの理念型の姿を示している。だが、当日は、講演でしか聞けない特別なメッセージを準備していた。