広島に行き、初めて平和記念式典に参加してきた。8/6の朝7時、宿舎を出て
平和記念公園に向かうと、平和大通りを西へ直進して歩く人の群れがあり、その後をついて平和大橋を渡り、右折して会場内に進入した。平和の塔の前で配られていた
パンフレットを受け取り、入口に向かうと、青地に白で「広島市」と書いた腕章をつけた係員が整列して大勢立っていた。私は気になって、「市の職員の方ですか」と尋ねたら、「そうです」と答えが返ってきた。上は白、下は黒のドレスコードで直立し、各自が持ち場を分担している。式のパンフレットはボール紙で全8頁の立派な製本で、地方自治体の困難な財政事情を考えると、広島市がこの式典にどれだけ力を入れているかがよく納得できる。この国民的式典の主催者は
広島市なのだ。そして広島市の職員にとって、この日のこの行事が一年中で最も大事な任務なのであり、全員が総動員体制で重責を受け持つ日なのだ。首相と閣僚2名、衆院議長、国連事務総長、各国大使と来賓要人が勢揃いする国家的な催事でありながら、実は驚くほど現場周辺に警官の数が少ない。日本特有の市民を威圧する「厳重な警備」の態様がない。東京では絶対にこうはならないだろう。広島県警の配員は脇役で、広島市の職員が完全に会場を取り仕切っている。市民の集会だ。主役は広島市民であり、被爆者であり、原爆で命を落とした犠牲者である。信じられないほど「官」の影が薄く、「市民」の姿が濃い。そのことに興奮した。