普天間問題に関して、一部に異常で奇矯な鳩山擁護論が散見される。「鳩山は最後はグアム・テニアンに移設する」だとか、「鳩山の迷いを沖縄県民は支持する」とかの論調である。根拠のない願望に基づいて鳩山由紀夫を過大評価する見方と、鳩山政権を崩壊から守りたいという思惑が突出して、そこから普天間問題の行方を無理な楽観論に飛躍させる主張の二つが交錯してネットに流れている。非理性的でナンセンスな議論だ。まず、本当に沖縄県民が鳩山由紀夫に対して、その「迷い」を支持していると言えるのか。その事実認識は客観的に妥当なのか。テレビ報道を見ても、5/4の現地でカメラの前に立った沖縄県民は、例外なく「裏切られた」と憤り、「嘘つき」と罵っていた。失望と怒りを率直に表明していた。鳩山由紀夫の翻心を信じているとか、迷走しても最後は沖縄の民意に添った決断をしてくれると期待しているなどという声は皆無だった。選挙で「最低でも県外」と
公約しておきながら、それを訪沖の場で公然と撤回し、政府案を県内移設に固めた鳩山由紀夫に対して、沖縄県民は渾身の怒りで身悶えているというのが実情のはずだ。そのストレートな事実を強引に捻じ曲げて、政局絡みの鳩山擁護論や民主党政権擁護論にスリカエるのは、国内全体の世論に対して誤ったメッセージの発信に繋がる。同様の鳩山政権擁護論は、江川紹子や山口二郎からも発せられているが、問題の本質を見誤った陳腐な俗論としか言いようがない。鳩山由紀夫の免責は無意味だ。