先週末、
岸井成格が、「ビデオの公開はないだろう」と言ったので、どういう方法で公開を阻止するのだろうと訝っていたが、なるほど、この手があったかと頷かされた。小沢一郎の強制起訴の発表が前倒しになったことで、政局は一気にこの問題に集中し、中国漁船問題もFD改竄問題も吹っ飛んでしまった。そしてまた、陸山会事件(1月)、幹事長辞任(6月)、参院選(7月)、代表選(9月)に続いて、今年に入って5度目となる「反小沢」の憂鬱な政治の季節となった。日本の政治は「反小沢」ばかりやっている。「反小沢」の政局は、マスコミと官僚が主導権を握る政局でもあり、消費税増税を執拗に宣伝する政局でもある。報道が陶片追放(オストラキスモス)を煽る衆愚政治(オストクラティヤ)の季節であり、無力感に苛まれて歯噛みさせられる季節である。総選挙で政権交代を実現し、高校無償化や母子加算復活や農家戸別補償を導いた小沢一郎は、サラミスの海戦をアテネの勝利に導いたテミストクレスだろうが、これを潜主として葬り去らねばならぬ理由が権力の側にはあるのである。私は、これから残酷な掃討戦が始まるのだと代表選直後の
記事に書いたが、あの政治闘争の続きが始まるのだ。これまでの3週間はゴングとゴングの間のブレイクだったのである。小沢一郎と小沢派の追い落としに燃える菊田真紀子の顔が浮かぶ。血に飢えた狼のように猛り狂った民主党の反小沢派議員の顔が浮かぶ。彼らが小沢派に襲いかかる。