紅葉前の京都へ行ってきた。今回は青蓮院と三千院、そして茶の湯体験の三日間。青蓮院は十数年前にJR東海のテレビ広告に取り上げられ、すっかり人気のスポットになり、今では京都観光で必見の定番コースになっている。昔はそれほど有名な寺ではなかった。今秋、国宝の青不動が初めて
御開帳ということで、TBSの「世界ふしぎ発見」でも大きく紹介されていて、今回の京都の旅の目的となった。青蓮院は夜のライトアップが催されていて、夜間に拝観することができる。拝観料は1000円。高額だが、青不動にお参りをして、ライトアップを楽しんで庭園を散策する分の対価としては、東京から来た者は妥当だと納得ができるかもしれない。「世界ふしぎ発見」では、護摩焚きの様子が放送されていて、ぜひ体験したいと思ったが、一日に二回催される護摩焚きへの参加には最低5000円の料金が必要で、思わず二の足を踏んでしまった。青蓮院で最もよかったのは、青不動の前でお参りをするお婆さんの姿だった。大日如来の化身である不動尊は古来より多くの信仰を集めている。江戸時代とか、室町時代とか、その頃の日本人がするように、そのお婆さんは青不動の前に正座し、床に手をついて深々と拝礼、その次に両手を合わせて願い事を祈り、それを終えて青不動をまじまじと見入っていた。その動作が流れるように自然で、ぎこちなさがなく、とてもいい感じなのである。観光的動機ではなく信仰的動機で青不動と向き合っている。