渡辺喜美の8億円の資金疑惑の問題について、郷原信郎がBlogに
記事を上げている。その結論はこうだ。「報道されている事実関係を前提にすると、今回の吉田氏から渡辺代表に対する巨額の選挙資金提供の事実については、政治的、道義的責任は別として、違法行為・犯罪として立件するのは相当困難だろう」。法的に違法とすることは難しく、検察が動くことはないだろうと予想を立てている。この
記事を読んだ者の多くが、落胆の気分にさせられたことだろう。現時点で、法曹家の中から、この郷原信郎の見解に反論を上げたり、異なる見方を示している例はない。しかし、誰の目から見ても、今回の渡辺喜美の事件は猪瀬直樹の問題と同じであり、
猪瀬直樹が当局から捜査を受けて刑事責任を追及されているのに、渡辺喜美がそれを免れるという指摘は腑に落ちない。猪瀬直樹の5000万円が違法であるなら、渡辺喜美の8億円も違法だろう。問題の構図と性格は全く同じだ。以下、郷原信郎の論理の中味を見ながら、どのような解釈で渡辺喜美の8億円を無罪だとしているのか、それを整理し確認して、その問題点を検討してみたい。郷原信郎の論法は、この渡辺喜美の8億円の資金提供が、公職選挙法に違反するか、政治資金規正法に違反するか、という図式で組み立てられている。前者にも違反せず、後者にも抵触しなければ、この行為はシロになるという説明だ。