森本敏の防衛相就任は、米国による直接指名の人事であり、尖閣での軍事衝突を睨んだ日中有事シフトの布陣だ。布石を打っている。戦争には準備が要る。戦争は計画的なものだ。東シナ海で日中が武力衝突の事態となったとき、司令官である国防相が軍事に無知だったり、米軍と自衛隊の部隊に精通していない者だと、作戦に支障をきたすし、一瞬の判断や決定で重大な過失を起こす可能性がある。米国とすれば、このポストには最も信頼のできる人材を置きたいのであり、米軍の意向を指令して確実に日本政府をコントロールできるオペレーションを固めたい動機を持つ。このブログでは、昨年からずっと日中戦争が始まる危険性について論じてきた。誰もその警告を言わないので、オオカミ少年的な具合の悪さを覚えるのだが、戦争のシナリオに沿って全体が動いているのだと仮説すると、パズルのピースが嵌って万事が整合的に得心できる感は否めない。私は確信を深めている。尖閣で衝突が起きたとき、すなわち有事だが、連日、官邸で安全保障会議が開かれる。福島の原発事故のときの対策本部会議のように、この会議を中心に政治が回り、政府方針が決定される。このとき会議をリードするのが森本敏で、森本敏のような仕切り役がいなければ、この会議は回らないのだ。米軍の思惑で内閣を統御し、市ヶ谷の論理で霞ヶ関を服従させる役割。