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橋下徹を見て感じるべきは自らに向けられた殺意である
2012-02-28 23:30:00
テーマ: 政治・経済
丸山真男の『昭和天皇をめぐるきれぎれの回想』(1989年)の中に、旧制一高の学生の頃に特高に逮捕され、本富士署で拷問まがいの取り調べを受けた体験が出てくる。次のように書いている。「取調べについていうならば、『唯物論研究会』の講演会に出席した動機を訊ねられて、私は長谷川如是閑の名前を出して父との長い交友の由来を話そうとした。このときも私の言葉は特高の次のような怒号で遮られた。『馬鹿野郎、如是閑なんて奴は戦争でもはじまれば真っ先に殺される男だ』というのである。(略) 『殺される』というのは裁判で死刑になることではなく、虐殺を意味していた。現にプロレタリア作家の小林多喜二が築地署で検挙直後に『殺され』た時日は、そのときから遡ることわずかに一ヶ月そこそこであった。国家公務員が平然と『殺す』という言葉を口にできたこと、『国体』を否認する『国賊』は法の正当な手続などお構いなしに抹殺して差し支えないという考えが私のようなチンピラ学生を取り調べた特高にとっても常識となっていたこと、はやはりこの時代を知るために忘却してはならぬ事実であろう」(第15巻 P.24-25)。今とは全く違う時代の話だが、無関係だと簡単に読み流せないのは、例の、北朝鮮拉致問題に絡んで起きた右翼による田中均宅爆破未遂事件と、その直後の石原慎太郎の暴言と扇動を思い出すからである。
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