TPP問題が政治の重要な争点に浮上して、連日のようにマスコミ報道で大きく取り上げられている。この報道も中国問題や小沢問題と同じく、きわめて単純化されたプロパガンダのシャワーになっている点が特徴的だ。TPPという聞き慣れぬ言葉を一般に教え込むと同時に、その参加への賛成が善で反対が悪だと最初から決めつけて吹き込んでいる。一昨夜(10/26)のテレビ朝日では、
古舘伊知郎が猛然とまくしたてて政府にTPP加盟に踏み切るよう要求、TPPに反対する農家や慎重な議員を「抵抗勢力」と呼んで罵倒し、「国益を害する存在」だと言って排撃していた。昨夜のNHKの
大越健介も同様で、経団連会長の米倉弘昌が言う「TPPに参加しないと日本は世界の孤児になる」を正論として前面に押し出し、TPP参加の正当性を刷り込んでいた。報道が一色に染まっている。これは、政権と官僚が報道を使って世論工作のオペレーションを仕掛けているのであり、遠からずTPP参加の是非についての世論調査を出す気なのだろう。菅政権の
政治日程では、11月中旬にAPECで正式に参加表明をする前に、11/5にTPP参加の閣議決定を算段している。現在はその10日前のタイミングで、世論の仕込みが重要な時期なのである。今のところ、反対の動きは民主党内の議員だけに止まり、国会では何も論戦されるに至ってない。新自由主義の政策傾向が強い自民党がTPP賛成だからである。