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日本人とセックスレス
2015-09-20 14:26:00
テーマ:
恋は手打ちうどん
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私は現在40代を前にした子育て世代だけれど、同じような年齢の、一部のカップルとしゃべっていてたまに驚くことがある。
パートナーと、ほとんど、あるいはまったくといっていいほど性交渉(セックス)が無いのだというのだ。
数年前、「セックスの回数で日本は世界で最下位」というデータがメディアを賑わせたことがあった。コンドームのリーディングブランド「デュレックス」社が世界26,000人に行ったアンケートに依るものだという。この結果を引用して、日本人のセックスレスだとか男性の“草食化”を語る人も多い。アンケートはあくまでアンケートなのだけど、セックスの年間平均回数で1位のギリシャ164回に対して、日本は実に48回(!)。確かにこの数字はいかにも寂しいものがある。
しかし、個人的にはあまり回数にこだわることも無いのではないかと思っている。何もギリシャの人をどうこう言うつもりもないけれど、年間164回といえばほぼ2日に1度はヤッテるという計算になるわけで、正直他にヤルこと無いのかな?と思わないでもない(笑)。まったくというのはさすがに同意しかねるが、ほとんどセックスがなくても、お互いが納得していて、さらに夫婦としてお互いを大切にし合い、愛を実感できるのなら、週に1度だろうがあるいは極端な話「盆と正月だけ」だとしても、まあそれはそれなのかなとも思う。
気になるのは、セックスから遠ざかっているカップルの話をきいていると、少なからずの方が「セックス?もういいよ」とか「うちは卒業したから」などと、諦め(?)だとか、なんだか宗教上の解脱(?)でもしたのかと言わんばかりの主張をすることだ。確かにセックスは生殖行為と言えなくもないから、子供ができてある程度年を重ねたら“必要”ではないという考えもあるだろう。だが、果たしてそうだろうか?
これは私の独断かもしれないけれど、日本ではいつのころからかセックスが「2人で男性を射精までもっていく営み」とでも書くしか無いような、合意とか認識があると感じることが多い。女性が、献身的に男性を射精まで導くのをセックスだと思っている人が多いというのは、言い過ぎだろうか。だが、実際問題少なからずの女性がセックスを“義務”みたいに感じているし、そう言えばセックスを「やらせてあげる」という若い女性も多い。そういった、不幸な男性上位で一方的な価値観が、私たちを長らくセックスから遠ざけているのではないか。
だって、女にしてみたら家事や子育てで疲れた上に、さらに「仕事」ってめんどくさいじゃないか。男は男で、射精というある意味排泄行為に家族を付き合わせるのも悪い。どこか他所(風俗)で済ませるか、自分で処理(マスターべーション)してしまったほうが手っ取り早いという認識を持っている人が、意外にいる。
人間のセックスというのは、一言で言えば「男と女でしかできない、愛情溢れるコミュニケーション」だと最近つくづく思う。正直な話として、私自身20代のころはもっと直線的なセックスを求めていたし、男として射精を目的とする営みを大切に思っていた時期があったというのは否定できない。だが、本当に愛しいと思える異性と巡り会ってからは考えが変わったように感じる。
先述したように、人が行うセックスは、究極的に「コミュニケーション」だ。しかも、普通の会話はある意味誰とだってできるけれど、身体を解放して心からわかり合えるコミュニケーションというのは、通常中々できるものではない。だから、そのような異性と出会ったら心してセックスをするべきだと思うし、遠慮なしでセックスの喜びに身をゆだねるべきだろう。
デュレックス社とは異なる別のデータによると、日本人のセックスにかける時間は平均30分なのだとか。30分!人それぞれと言ってしまえばそれまでだけれど、私としては30分しか与えられなければ、それこそ射精にむけて励む時間がメインとなってしまうのではないかと思う。セックスというのは、男と女が身体と心を使って、文字通り身も心も快くなる一時であるべきだろう。片方だけが一方的に絶頂を迎えるべきでもないし、射精そのものが目的ではないので、極端な話何も無理に挿入しなくても、ぎゅっと抱き合ったり「愛しているよ」と普段言いにくい言葉を耳元で囁くだけでも、十分セックスとして機能しうる。「うちはもうセックスは卒業したから」というカップルは、端的にいえば「うちはもう腹を割ってコミュニケーションするのは卒業したから」と同義なのではないか。それを気がつくか気がつかないフリをしているかだけだ。
夫婦間を含めて、セックスに関するイシューは問題が大きい。このブログでも1回や2回では終わらないだろう。何度か取り上げたいと感じているが、セックス=コミュニケーションという本質だけは確認しておきたい。私自身、20代のころは自覚的にも、また無自覚的にも射精を頂点としたセックス観にとらわれていたと感じる。アダルトビデオが市民権を得すぎているのもあるかもしれない。ただ、幸福にも心から愛しいと思える異性と出会い、相手を快くしたい、もっとお互いを高め合いたいと思えるセックスと出会うことができた。それは何も私だけに起こった特別な事柄でもないだろう。もう一度記しておくが、仮に長年の夫婦間であっても、セックスは「卒業」するような類いの事柄ではない。そういった事柄は長年ーいや、実はせいぜい数十年ー男性の特権のように思われていた風潮があるし、産業としても男性に特化したサービスばかりが成長してきたけれど、これからは女性を中心とした、静かで愉快な革命が起こると私は思っている。「仕事」で奉仕して終わるセックスではない、かといって、「自分さえよければ良いでしょう?」といった自分勝手な干渉とも違う、こころが通い合った、自分に素直で相手も思いやった性愛発露は、平安時代から続く大和撫子の十八番芸とさえ、私には感じられるのだ。
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