毎月1500万円の小遣いを母親の安子から受け取りながら、子分を飼う投資に回さず浪費していた弟の鳩山邦夫は、結局、一匹の子分も連れずに単身で自民党を離党する喜劇役者となった。真面目に買収に回していた兄の鳩山由紀夫は、節制と努力の甲斐あって悲願の首相に収まっている。親の言いつけは守るものだ。鳩山邦夫は、毎月1500万円の小遣いを何に散財していたのだろう。希少種の蝶のコレクションだろうか。それとも銀座の蝶の収集と飼育だろうか。兄弟で差がついてしまった。新党結成だとか、薩長同盟の接着剤だとか、威勢のいい法螺を言っているが、腹の中は意外にリアリスティックな計算がある。要するに、泥舟の自民党から素早く脱出して、やさしいお兄ちゃんが拾ってくれる民主党に再び潜り込む魂胆だろう。嘗ては党の副代表だった。党を創立したオーナー一族の貴公子でもある。鳩山マネーで立ち上げた民主党は、自分が居座って当然のマイホームだ。来年、ちょうど1年後だが、東京都知事選がある。今から11年前、1999年の都知事選に鳩山邦夫は民主党推薦で立候補、そのときは石原慎太郎に敗れた。落ち目の石原慎太郎に次の選挙での勝算は薄く、1年後を考えれば、自民党の公認や推薦は、今よりもさらに逆効果に働くだろう。その辺の情勢と時機を鳩山邦夫は計算していると思われるが、マスコミも、ネットも、政界再編の関心と視角からでしか話題にしておらず、政界喜劇の一幕だと思ってワイドショーの娯楽を楽しんでいる。